知り合いの方の甥っこさんが、二十歳になったので料亭へ連れて行くという。花街への道筋は大人がつけるものであるが、それは親類筋の仕事である。親類でもないのに何故か断りきれずに付き合わされてしまった。桜も終わり初夏の匂いのする夕方だった。
この街のお座敷に上がったのは数える程しかない。つてもないが、遊んで楽しい人もいるわけではない。馴染みと会えば共通の話題があり座は持つものである。だから、馴染みの居ない街では遊ぶ気になれないでいる。
今回は4人で話してしまい甥っこさんを置き去りにしてしまったようだ。社会科見学としてはよかっかどうかは後になってみなければわからないものである。それにしても、踊りを観て、お座敷落語を聴き、「おひらきさん」で遊んでみるのは二十歳の若者が大人の仲間入りをするには贅沢過ぎたのかもしれない。
コメント