野矢茂樹『論理トレーニング 101題』産業図書株式会社、2001年、2014年第41刷
書誌情報
『論理トレーニング』(1997年)の続編である。教科書に対して問題集というわけである。教科書と違い独習にも配慮して解答が付いている。
メモをしていたが、何故か消えてしまったので、要点だけ書くことにした。
「論理の力」とは「思考力」ではない。「論理の力とはむしろ思考を表現する力、あるいは表現された思考をきちんと読み解く力にほかならない」(P1)。
文章が読み易かったり読み難かったりするのは何故だろうか。論理の筋を辿るためには、接続表現に注意して読む必要がある。接続関係は「付加、理由、例示、転換、解説、帰結、補足」の七つがある。これは論理関係そのものである。文章がどのように接続するかはこの論理関係に依っている。
そこで「論理トレーニング」が必要というわけだ。しかし、英文法で接続詞を習ったとき、接続詞に幾つもの意味があって混乱したことを思い出した。英文解釈ではパラグラフリーディングで文章の展開を理解する方法も教わった。何故か現代国語では意識的なトレーニングをした記憶がない。「しかし」と「けれども」はどう使い分けるのか。外国語を学ぶ良さが自国語を相対化することにあるとしても、日本語をもっと分析的に扱うトレーニングをする必要があるのではないかと思う。
本書は論理の筋道を明らかにする方法を具体例を通して教えてくれる。刷数を重ねていることからも多くの人に支持されているのだと思う。おかげで通勤鞄が重くなった。
帯を見ると、いつこの本を買ったか分かる。春は何でも始める時だから。
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