子安宣邦『平田篤胤の世界』ぺりかん社、2001年、2009年新装版
本書は子安宣邦先生が『日本の名著24 平田篤胤』(1972年)の解説で「平田篤胤の世界』を書いたのが元になっている。平田篤胤を書くことで本居宣長を読み直して書いたのが第Ⅰ部「本居宣長の世界」である。第Ⅱ部に「平田篤胤の世界」を置き、第Ⅲ部「篤胤国学の展開」で本書を構成している。もっとも、構成となると編集の藤田啓介氏が子安先生の篤胤論を集める方針であったことはあとがきや収録(初出)一覧を見ても分かる。
子安先生の最初の書籍である『宣長と篤胤の世界』から篤胤だけを採ることをしなかったところに平田篤胤を論じる時に本居宣長を外せない理由がある。この辺りはゆっくり読み解いていこうと思う。
最後に「仙境異聞」の解説が載っていた。これは最近Twitterで話題になり『仙境異聞・勝五郎再生記聞』(岩波文庫、2000年)が極めて短期間のうちに増刷を繰り返した話を知ったときに読み返した。200年前のルポルタージュだと思うと本を手にした人々がどこまで読めるのか心配になる。岩波文庫の帯が煽っているなあ。
注)レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』(1977年)に挟まれていた中公叢書の宣伝に『宣長と篤胤の世界』も入っていた。「言葉によって人間の事象に直面する本居宣長と、霊魂の行方を追求して幽冥界を降る平田篤胤ー対照的な思想が交錯する近世国学の展開を精緻に論じた気鋭の力作」。うまくまとめたと感心する。
#子安宣邦
コメント